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介護離職への道(13)ロックアウト

ロックアウト

ちょっと話が長くなります。
親父が老いてATMの使い方すらわからなくなりました。それ以後は帰省する度に整理できるものは処理してきました。クレジットカード、銀行口座・・・・。

家の近くの証券会社から明細書が届いているのは認識していました。郵便の明細が届いていたので。100万円を少し超えた額でした。いづれは解約するしかない、でも「いつでも解約できる」と考えていました。

今回、帰省した折、たまたま証券会社から電話がありました。解約を頼むのにちょうど良いと思ったので自宅に来てもらいました。ちょうど親父はデイサービスで不在でした。デイサービスの話をすると、どうも変な方向に進んでしまいました。「解約したいのにできない」感じになって来ました。まともに答えると馬鹿を見そうです。詳しくは話しませんでした。

元をたどって、証券会社の担当者に聞いていくと。
新人らしく、親父と面識がないので訪問しようとしていたらしい。電話に出た母親が「親父に話しても良くわからないだろうから息子に」と言ったそうでした。その母親の返答でややこしくなったようです。

私は単純に、配当金は銀行口座に振り込まれているので、解約すれば親父の銀行口座に振り込まれるだけ。
なんら問題ないと考えていました。

話を聞いて行くと、認知症であればロックアウトになるらしい。ロックアウト?要するに口座が凍結されるのだろうと思いました。実際、既に認知症の診断はされています。当時の親父は、その場の受け答えは十分まともに返答していました。

だんだん話がややこしくなって来ました。解約できないかも知れないのです。新人では処理ができないようです。支店まで来て上司と相談してくださいと言うので、仕方なく支店まで行きました。

出て来たのは女職員でした。「ヘルパーの資格を取った」とか、どうでもいい話をして来ました。杓子定規なことばかり言うだけです。新人が言ってたことを、さらに、もっと、ややこしく喋るだけでした。

黙って解約してくれれば良いのに。親父のお金を親父の口座に入れるだけなのに。
祖父さんが持っていた少しの相互銀行の株を株の電子化に伴い証券口座を作ったのだろうと思います。そのついでに別の株を買わされていました。親父は株など全く興味がなかった人です。他の銘柄が増えている理由をそう解釈していました。

もし、うちが本当に貧乏でこのお金がどうしても必要なのに認知症になれば解約出来ないのか?
成年後見制度とか言い出しました・・・ひつこいくらい杓子定規な答えばかりで不親切でした。

親父を連れて来る時間が無いのです。帰省した限られた時間でこんなことしている暇はありません。明日は帰るのです。

成年後見制度をしなければならないほど、親父に大きな財産があるわけでも無い。そんな財産争奪のあるような疲弊した家族でもありません。もう既に、親父から銀行通帳は預かって管理しています。無理強いをした覚えもありません。ただ、ちゃんと生活できるように親父のお金を管理しているだけです。

結局、夜、遅くても良いので、支店長に自宅まで来てもらうことにしました。今日中に処理しなければ、次回の帰省ではどうにもならないような気がしました。

帰社途中の支店長から電話が入りました。その際、電話口の支店長に聞こえるよう、親父に「株売るので良いなっ」て言ったら、「売っていい」と聞かせました。

支店長が来るまでに念のため書面を作成しました。証券会社、担当者様、日付と本文に「全解約の旨、お願いします」と記載し、親父本人に名前を自筆させ印鑑を突いた書面を作成しました。

夕飯時に支店長が来ました。書面を渡しました。支店長が「本人が在宅かどうか、だけ確認させて欲しい」と言いました。親父は、夕飯中でした。居間のドアを開ければ玄関先から見えます。ドアを開けて親父に「株、解約で良いな?」と言ったら、親父がかなりの大声で「ひつこい、売っていい」と返答しました。年末の12月25日のことでした。

これで支店長が了解して「明日、売却して振込します」とのこと。どうにか解決しました。

帰り際、支店長が「親のお金を子供がネコババする家庭もあるので、どうしても本人の意思確認が必要」さらに「生存確認が必要」とのことでした。もっと早く親父に解約を勧めるなりして欲しかったです。ディザービスに通っているとなったら必死に家まで確認に来るのに。

新人に、「親父とは面識が無いのだから、もし私が親父の振りをして解約を頼んだらすんなりできましたか?」と聞いてみました。が黙ったままで返事はありませんでした。

こんな話は益々増える一方だろうと思います。

認知症と診断されれば、銀行口座、証券口座などロックアウトされるそうです。家族の誰かが成年後見人にならないとお金の引出しが出来ないそうです。正確には調べていません。たぶん成年後見人になるには、その申請書類の作成に手間、暇、金が掛かると想像します。そんな状況になる前に、家族で相談して整理しておくことが一番良いのでしょう。

テレビで見たのでうろ覚えです。最近は銀行1行当たり最近は150万円まで下ろせるようです。葬式代とのことだったと思います。3行あれば450万円までだたっと思います。

深刻な認知症になれば、お金を取られたとか、隠されたとか言うそうです。親父の場合はすんなりと通帳、印鑑を渡してくれました。やや自分で不安をもった頃だったのだろうと思います。よく親父が大声で証券会社の人の前で「ひつこい、売っていい」と言ってくれたと、未だにクリスマス時期には必ず思い出します。

※メモ
認知症と診断されれば、銀行、証券口座などロックアウト、凍結されるようです。ネット銀行に口座があれば大問題だと思います。早めに家族で相談をして整理することを勧めます。