介護離職への道(44)終章
終章
昨年の2月中旬頃です。親父の三回忌でした。家族だけでお寺で行いました。ちょうどクルーズ船で新型コロナ感染が広がった頃だったと思います。
親父が亡くなってからも、弟は週5日くらいは来ていたようです。大変だったでしょう。帰省後、母親をしばらく観察してみると元気そうです。贅沢な文句、注文をかなり言います。しかし、本当に介助が必要なものは、食料・雑貨など生活品の買出し、ゴミ出し、掃除、月に2回くらいの通院程度です。
これを私がやれば、弟を休ませる事が出来ます。しかし、婆さんは弟が来るのを楽しみにしています。弟と相談しました。週に1、2日くらい来てもらうことにしました。
夕食は基本的に以前に頼んだ生協の弁当で賄います。美味しく無いそうですが仕方ありません。たぶん、頑張れば出来ると思われる卵焼きすらやりません。ゆで卵くらい出来るだろうと言ってもやりません。生協の弁当はおかずだけにしています。御飯付きで頼んでしまうと米も焚かなくなると思ったためです。
以前に、婆さんが自分で米が炊けるよう小型の炊飯器に買い換えてあります。朝飯はチーズ、野菜ジュースか牛乳だそうです。昼飯は適当です。最近ではカップ麺、レトルトなどを買って備蓄してあります。生協の弁当は平日だけなので、土日祭日は準備が必要です。
戻ってから半年くらいは、週末の弁当は嫁さんか私が適当に作ったおかずを持って行ってました。しかし、惣菜ではコロッケ、天ぷらは要らない、自作弁当でも人参が固い、肉が大きい、硬い、甘い、味が薄い・・・など苦情を多く言い出しました。腹が立って止めて市販の弁当にしました。
スーパー、コンビニの弁当を買って行ってます。初めは御飯が付いているので楽で良さげなことを言ってましたが、段々と揚げ物は美味しくないとか言い出してしまい、買う物が無くなって来ました。
週末に買って行く食品の中でも、刺身類は食べ易いようで文句を言ったことがありません。最近は刺身をひとパックは必ず買うことにしています。ダブりますが、握り寿司の盛合わせも良く買います。段々と買う食品も何となく定まって来ています。しかし、未だにデイサービスで食べるお弁当が一番、美味しいと言ってます。まあ、デイサービスに行く楽しみで良いと思います。
今まで弟と叔母さんは、婆さんが何か頼めば、その通りやって来たようです。しばらく様子を見ていましたが、出来ることもヤラナイ癖が付いている感じでした。弟の来る回数が減って数カ月後、かなりきつく「自分で出来ることは、自分でしてもらう」と言いました。炊飯器、ポットのように環境を整えてやれば出来ることは環境を整えるようにしました。玄関、リビングのじゅうたんを全て廃棄しました。躓くことが減って動きやすくなりました。少し歩行もしやすくなったようです。
ゴミ捨て時に床に落とさないようにゴミ箱を大きなものに交換しました。掃除機は重くて婆さんには無理です。クイックルワイパーなら運動も兼ねて良いと思いました。しかし、使って無いようです。仕方ないです。私が時々、掃除機を掛けます。
新聞紙などの古紙も積置きでしたが、紐で縛ってもらってます。少ない量なら時間は掛かりますがやればできるのです。出来ないと思っていたことが、できれば何となくうれしいのかも知れません。少しづつやるようになりました。庭の植木も伐採しました。歩くところを広くするためです。最近は、時々庭を歩いているようです。
そんなこんなで、早いもので帰省して約2年が過ぎました。
昨年は2月末くらいから新型コロナ感染が広がりました。田舎なのに新型コロナの影響がありました。第2波の頃です。近所で感染クラスタが発生しました。
また、新型コロナの影響で弟が会社都合で退職して心配しました。数カ月後に就職出来て安心しました。給料が下がったと嘆いていました。週2回、実家に来てくれていましたが、少し遠くなったようで週1回になりました。
婆さんは、帰省した直後の頃よりも記憶力が回復し、歩行も少し良くなったように思います。回復しなくても良い「減らず口」は回復し過ぎたように思います。庭の散歩、ゴミ出し・・ちょっとした事が出来るようになったせいか、その減らず口もようやく減って来ました。
世の中には、もっと、もっと大変な介護をしている人が沢山いると思います。私などは定年前の離職になりましたが、介護と言うほど大げさなことはしていません。婆さんの状態がかなり改善したので介助レベルかも知れません。それでも婆さん一人では生活はできません。こんな婆さん程度でも誰かからの世話が必要です。結局、知らぬ顔が出来なければ、遠方に住んでいる場合、離職するしかないです。介護離職ゼロにはならないです。益々増えるだろうと思います。
一昨年は前自治体からビックリするほどの住民税が来ました。つい最近に、やっと高額の健康保険が無くなり国保へ移りました。税金もあまり払わずに済みそうです。
私は相変わらず無職で日々を潰してます。貯金を切り崩してます。どうにか65才の年金受給まで節約生活をしようと思っています。亡くなった親父を見て、自分もそう先は長いようで、長くも無いと思ってます。できる範囲で楽しみながら嫁さんと過ごせれば良いと思っています。
これで時系列で並べた記憶は終回になります。今後は近況などを不定期に追加して記事にしようと思います。