片辺草紙(16)クワガタムシ
もう50年以上前の話しです。
小学生の頃の話です。
うちの家は商店街だったのでクワガタムシやカブトムシはほとんどいませんでした。
私は小学校1年の初めからの転校生なので友達もしばらくいませんでした。
小学校までの通学路も知りません。
どうしたかと言えば、
自分より背の高いランドセルを背負った人の後ろをついて行けば良いと考え、実行してました。
往路はこの方法で問題なかったです。
ただ、自分より背の高い人は歩くのが早いので、ついて行くのが大変だったと記憶してます。
夏休みにはラジオ体操があります。市役所が集合場所だったと思います。
友達がいないので行きたくなかったです。
おばあさんがついて行ってくれました。
さらに「早く行くとカブトムシがいる」と言うのです。
なんでいるのか?
朝早いと水銀灯に集まって来たカブトムシがひっくり返っているのです。
ラジオ体操よりカブトムシを採るのが重要でした。
だから毎朝、ちゃんとラジオ体操に行くようになりました。
水銀灯に集まって落ちていたのはカブトムシだけでした。
ある日、小学校から東方面、私とは逆方面に住む同じ学級の女の子が小さな牛乳瓶にコクワガタを入れて学校に来てました。
何故かしら、私に「あげる」と言うのでもらいました。単純に大変嬉しかったです。
すごく色の白い子でした。
おさげ髪だったように思います。当時は「おさげ」という言葉も知りませんでしたが。
書きながら想い出しました。
名前は「みわこ」ちゃんだったと思います。
その後のある日、「みわこ」ちゃんが、転校してしまったような記憶が残ってます。
たぶん中学校で会えると勝手に思ってましたが・・県外への転校だったようです。
あの「みわこ」ちゃん。今は、どうしているだろう?